ご案内
キャラクター「ゆめか」

各ページの記事・写真は転用を禁じます。著作権は京都新聞社に帰属します。
Copyright(C) 2006 The Kyoto Shimbun Co.,Ltd.
電子メディアおよび関連事業における個人情報の取り扱いについて
記事に対するご意見、ご感想はこちらまで
命がけの京菓子

松風

亀屋陸奥の松風

 今回は松風を取り上げる。そもそも、松風とは何だろうか? 知らない人に一番分かるように言うと「和風カステラ」なのだが、この表現ではうまく伝わらない部分がありそうだ。カステラと比較すると、卵も油も入っていない。昔ながらの菓子であり、カステラのような洋モノなど何も知らない、といった顔をしている。小麦粉あるいは小麦粉+米粉を使用し、グルテンの弾力を生かした引っ張ったら伸びるような歯ごたえがある。粉っぽさがなくて、弾力ある生地のシンプルな風味が持ち前である。

 もっともプレーンな松風は、西本願寺の西北にある音羽屋老舗のものだ。小麦粉だけ使って焼いた風味、噛みごたえが分かる。弾力のある生地が、噛んでいる内にミルクのような、なめらかさに変わる。茶色く、じっとりした上面にけしの実が散らしてある。これとほぼ同じ噛みごたえをもつのが亀屋陸奥の松風だ。しかし風味は異なる。白味噌、米粉が加わって多少複雑化している。また、この店の松風は包装されつつも、空気に触れているうちに、独特の強い歯ごたえに変わる。亀屋陸奥によると松風は糧食が起源である。それで、持ち運べるようなしっかりした生地の強さが表現されているものと思われる。

 松屋藤兵衛の紫野味噌松風は、さらに味わいが複雑化していて、通人好みだといわれる。白胡麻と味噌の風味に加えて、ところどころに大徳寺納豆が入って香りと塩気を与えている。引っ張ると伸びるような生地の強さに加えて、ふわっとした独特の柔らかさもある。複雑な味わいが妙味を感じさせる。松屋常盤の味噌松風は、大徳寺納豆を使わずに味噌による比較的シンプルな風味で、ソフトな生地の感触が持ち前である。やさしさとでも呼びたくなるような柔らかさがあり、よく「むっくり」と表現される。味噌・黒ゴマによる柔らかい風味が、生地の柔らかさと呼応している。

 この他には、松の実が入った亀屋良珍の六条松風がよく知られる。その他にも松風、松風的な菓子は色々と出ている。

(2005年12月)


前のページ
雪餅
コンテンツのトップ 次のページ
大徳寺納豆入り落雁
筆者プロフィール

これまでに1200種の和菓子を食べたYOU1さんが綴る京菓子のうんちく。全38回を掲載しています。実は糖尿病に悩む50歳代の大学院生。詳細なお菓子のデータが詰まったYOU1さんのホームページもぜひご覧ください。